こんにちは、谷口です。
今日は、9月22日に開かれた第81回国連総会を通じて見えてきた、今の世界の姿を整理してみたいと思います。誰か一人を批判するためではなく、各国の発言や行動から、これから世界がどう動いていきそうかを、自分なりに予測してみる回です。
トランプ大統領の演説が示したもの
トランプ大統領は演説で、イランについて「取引をまとめるか、殲滅するか」という決断を迫られていると述べ、決断は11月の中間選挙後になるとの見通しを示しました。AIについては「開発にブレーキをかけるのではなく、後押しする」と明言しています。グリーンランドの防衛を巡ってはデンマークと新たな合意に署名し、「大規模な軍の駐留」にも言及しました。キューバの政権について「いずれ倒れる」と発言した場面では、キューバ代表団が退席し、対イラン発言の際にはイラン代表団の多くも席を立っています。
欠席という選択
今回の総会では、誰が来たかと同じくらい、誰が来なかったかが注目されました。習近平国家主席は副主席を代理として送り、自身は総会を欠席する一方、23日にワシントンでトランプ氏と個別に会談する予定です。モディ首相(インド)も出席を見送り、プーチン大統領は渡航が事実上できない状況にあります。メルツ独首相も、国内の政局悪化を理由に訪米を取りやめました。フランスの国連大使は「これほど分断が深まっている時だからこそ、多国間主義を支持することが極めて重要だ」と述べています。
多国間主義を守ろうとする側
一方で、既存の国際的な枠組みを積極的に守ろうとする国々の動きも目立ちました。カナダのカーニー首相は、ここ数ヶ月「多国間主義の守り手」としての存在感を強めており、今年1月のダボス会議では「アメリカの覇権に基づく秩序は、もはや機能していない」「WTOや国連といった多国間機関が脅かされている」と発言し、会場からスタンディングオベーションを受けました(これに対しトランプ氏は「カナダはアメリカのおかげで存在している」と応じています)。今期限りでの退任を表明しているフランスのマクロン大統領も、最後の国連演説でガザ情勢への対応を批判し、ウクライナの停戦を呼びかけました。
日本が取ろうとしている、絶妙なバランス
ニューヨーク・タイムズは、高市早苗首相の国連総会での立ち位置について、次のように伝えています。高市首相は、気候変動、法の支配、公海における航行の自由に焦点を当てる方針を示す一方、国際機関の役割を重視し、ヨーロッパ諸国やオーストラリア・カナダといった「ミドルパワー」との関係構築に意欲を見せています。同時に、良好な関係を築いてきたトランプ大統領との関係を損ないたくないという思いもあり、その間で絶妙なバランスを取ろうとしている、というのが記事の見立てです。日本は安全保障をアメリカに依存しており、高市首相は訪米前の記者会見で、北朝鮮による拉致被害者17人の問題についても、演説で取り上げたい意向を示していました。
私の見立て:世界は、二つの流儀に分かれ始めている
ここからは、確定した事実ではなく、谷口自身の見立てとしてお聞きください。今回の国連総会を見ていて感じたのは、世界が大きく二つの「流儀」に分かれ始めているのではないか、ということです。一つは、既存の国際機関にこだわらず、力と交渉によって物事を進めようとする流儀。もう一つは、カナダやフランスのように、多国間の枠組みを積極的に守り、そこに立場を作ろうとする流儀です。そして中国・インド・ロシアといった大国は、この舞台そのものへの熱量を、静かに下げているようにも見えます。国連という場を主戦場にするのではなく、それぞれ別の場所(二国間の会談など)に力を注ぎ始めているのかもしれません。
この構図の中で、日本が取っている「どちらか一方に決め切らず、複数の関係を同時に育てる」という姿勢は、実は理にかなっているように思います。世界で活動しようとする私たち一人ひとりにとっても、一つの枠組みや一つの相手だけに頼るのではなく、複数のつながりを並行して育てておくことが、これからますます大切になっていくのではないでしょうか。
私からのメッセージ
コンテクストノートは、私たちが世界で勝負するために必要な情報を届ける場所だと考えています。世界がどちらの方向に進もうとしているのかを、複数の情報源からチェックし、自分なりに考え、備えておくこと。それが、これからますます必要になってくると思います。
今回の国連総会は、そのための一つの大きな指針となる出来事だったのではないか。私はそう感じています。
今日のひと言
あなたが今、一つの関係・一つの枠組みだけに頼りすぎているものは、ありませんか。
情報源について
この記事は、以下の一次情報をもとに執筆しています。
- The New York Times「Japan’s leader aims to highlight her country’s push for a more pivotal global role」(2026年9月22日)
- CNN、ABC News、PBS Newsによるトランプ大統領の国連演説報道(2026年9月22日)
- Associated Press、France24などによる、各国首脳の出欠・発言に関する報道
- Canada’s National Observer「Trump set to address UN General Assembly as Carney becomes voice of multilateralism」
本記事は、公表されている報道をもとに、谷口光利が独自の視点でまとめたものです。「世界が二つの流儀に分かれつつある」という見立ては、確定した事実ではなく、谷口自身の仮説であることを申し添えます。特定の政治家個人への評価は含んでいません。









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