こんにちは、谷口です。
今日はニューヨーク・タイムズの記事をもとに、世界のお金の流れに起きている、大きな地殻変動について書いてみたいと思います。「私の視点」は、明確な答えの出ていないテーマですので、今回は私が最も理念に近いと感じた「一極集中から、分散へ」という角度で進めます。
ドルと米国債に、静かに疑問符がつき始めている
アメリカの長期国債(10年物)の利回りは今週、2007年以来という高い水準に達しました。国の借金が40兆ドル規模に膨らむ中、投資家がより高い利回りを求めるようになっていることが背景にあります。ノルウェーの政府系ファンド(世界最大規模)は今月、米国債の保有を減らす方針を示しました。
各国の中央銀行が外貨準備として保有するドルの割合も、2015年の64%から、2025年末には56%まで下がっています。オランダ中央銀行は、ニューヨーク連銀に預けていた金の大部分を自国に引き揚げ、フランス中央銀行も同様の動きを今年すでに行っています。「地政学的な不安の高まり」が、いずれも理由として挙げられています。
ベッセント財務長官は議会で、「アメリカは今もリーダーであり、リーダーは競争を恐れない」と述べ、ドルや米国債への信頼は揺らいでいないと強調しています。
金が、史上初めて1オンス5,000ドルを超えました
ドルや米国債への不安の受け皿になっているのが、金(ゴールド)です。今年、金価格は史上初めて1オンス5,000ドルを突破しました。各国の中央銀行による金の購入は、2022年以前の月間平均の3〜4倍のペースで続いています。世界の中央銀行が保有する金の価値は、2025年に米国債の保有額を上回りました。
中国が主導する、ドルを介さない決済網
中国は、香港・タイ・アラブ首長国連邦・サウジアラビアと共同で、国境を越えた送金をより速く、より安く行えるデジタル通貨の決済網(mBridge)の開発を進めています。ロシアとインドも、中央銀行デジタル通貨を使って貿易決済を行う計画を先週明らかにしました。人民元の外国為替取引に占める割合も、じわじわと上昇しています。
アメリカが対イラン制裁などで、ドルを「外交の武器」として使い続けてきたことが、こうした「ドルを介さない仕組み」を各国に模索させる一因になっている、と記事は指摘しています。
私の視点:一極集中から、分散へ
今回のニュースを一つひとつ見ていくと、共通しているのは「一つの通貨、一つの国に頼りすぎることへの警戒感」だと思います。金を買う国、デジタル通貨網を作る国、金地金を自国に引き揚げる国。それぞれ理由は少しずつ違いますが、根っこにあるのは同じ「分散」という発想です。
これは、何か一つの大国が没落するという単純な話ではなく、世界が「一つの籠に、すべての卵を盛らない」方向へ、静かに舵を切り始めている、という大きな歴史の転換点なのだと思います。ドルがすぐに主役の座を降りることはないでしょうが、「絶対にドルしかない」という前提そのものが、少しずつ崩れ始めているのかもしれません。
日本の為替への影響は?
為替の先行きを正確に予測することは、私にもこの記事を書いているAIにもできません。ただ、今回の話が日本の為替にどう関わりうるかについて、簡単に触れておきます。
2026年に入り、日本円は歴史的な円安(1ドル=160円台)が続いていましたが、9月に入って日銀の利上げ観測が強まったことをきっかけに、一時154円台まで円高が進む場面もありました。通常であれば、アメリカの金利が上がるほどドルが買われやすくなりますが、今回は日銀も同時に金融正常化(利上げ)を進めているため、日米の金利差がどう動くかが、円相場の方向を左右する最大の要因であることに変わりはありません。
そこに今回のような「ドルそのものへの信頼」を巡る問題が重なると、単純な金利差だけでは説明できない値動きが増える可能性があります。円が必ず買われる、という単純な話ではありませんが、「ドル一強」という前提が揺らぐこと自体が、今後の為替相場を見るうえで、一つの新しい変数になってきているように思います。
私からのメッセージ
世界がどこか一つの通貨、一つの国に頼り切る時代は、少しずつ終わりに近づいているのかもしれません。これは不安だけの話ではなく、多様な選択肢が生まれつつある、という見方もできると思います。
今日のひと言
あなたが「これさえあれば大丈夫」と頼り切っているものを、一つに絞りすぎていないか、たまには見直してみませんか。
情報源について
この記事は、以下の一次情報をもとに執筆しています。
- The New York Times(世界経済とドルの地位を巡る報道、2026年9月)
- 各種報道機関による、2026年9月の日銀・FRB金融政策と為替相場に関する報道
本記事は、公表されている報道をもとに、谷口光利が独自の視点でまとめたものです。特定の政策の是非についての谷口個人の評価は含んでおらず、また為替相場の見通しを断定するものではありません。









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